2021/02/16 (Tue)
その女ジルバの裾を春疾風 勝彦
東証の場立ちのピエロ氷解く 勝彦
春嵐オペラ高音尖りたる 美和
ギリシアの猛き男よ海のどか 利保
老妻の声若やぐや雛飾る 宏平
外出の妻の帰宅を待つ日永 柳匠
2021/02/17 (Wed)
男坂駆け抜けてゆく春疾風 利保
尖りたる風が身を刺す余寒かな 宏平
鉛筆の芯の尖りや冴返る 柳匠
2021/02/18 (Thu)
なゐの夜の桜吹雪となりにけり 聡子
錠差す音響く吹抜け余寒の夜 美和
佐保姫のサンドウヰッチにたまごあり 薫
ぶらんこや音を見つけたピタゴラス 利保
決まりたる道があるのか猫の恋 みどり
鶯や騒ぐ世間の無関心 穂積
猫の恋ベッドに夜具の無かりけり 柳匠
心音はありがねのまま冴え返る 勝彦
やすらかな日々一輪のチューリップ 智恵
2021/02/19 (Fri)
冴えかへる猫の背中のなめらかさ 万紀子
よれよれとなつて戻りぬ恋の猫 美和
恋猫の未練引きずる後ろ足 利保
春風やキネマへ西口東口 穂積
春の風改札口へ吹き抜けし 柳匠
ふらここの小さき背中の大きな手 みどり
ふらここ漕ぐ最初は父の大きな手 柳匠
ブランコの母の他人に見えたる日 勝彦
冴返る行き交ふ人は歩を速め 宏平
春星や端坐の母はたぢろかず 彩香
2021/02/20 (Sat)
雉の声木魂の如き谷津田かな 利保
ばいばいと手を振る娘木の芽風 美和
カーテンの透けゆくひかり木の芽時 薫
鶯や初音残して藪の中 みどり
空耳に母のこゑ聞く初音かな 勝彦
鶯や守一の猫眠りをり 穂積
木の芽晴ざぶりざぶりと靴洗ふ 智恵
南氷の大銛一つ陸奥の春 勝彦
京都弁あずま男の初音かな 勝彦
水溜りせーので跳んで光の春 草もち
風船の小さくなりて空深し 美和
春の日を入れたるギリシャヨーグルト 彩香
2021/02/21 (Sun)
何故人は生きるか野辺の初音かな 直路
紙風船カモンの声は空高く 利保
首少しかたぶけてゐる紙ひゐな 美和
武蔵野や木の芽の道を行く柩 宏平
2021/02/22 (Mon)
マリア像梅の香まとひ四旬節 万紀子
尖塔の青空穿つ四旬節 万紀子
むさしのの空ひろくして初音かな 聡子
調弦の音のずれゐる春の夜 美和
菜の花や君せわしなき浜言葉 利保
五線譜に聴音映す春の星 勝彦
早春を駆ける少女の弾む息 宏平
薄玻璃にこほり三つ四つ春の宵 薫
車いす四人寄り合ふ梅見かな 彩香
2021/02/23 (Tue)
探梅の人集めたる一樹あり 美和
連翹のひとつほころぶ朝陽かな 利保
梅匂ふほころび初めし朝かな 柳匠
階段を駆け下りてゆく春コート 智恵
祝日の三十階の春愁 穂積
海風に外人墓地の梅かをる 万紀子
春節の覇王の面の出番待ち 万紀子
2021/02/24 (Wed)
春寒の番号札を渡さるる 美和
春寒しスタッカートの鳥の声 利保
からし菜を折り採ってゆく散歩道 みどり
縄文の海岸線に春の虹 比呂
春寒や造りて祈る火炎土器 比呂
沈丁花手書き書類の投函音 宏平
白鳥帰る函館越えてはるばると 草もち
さぶちゃんのヨナ抜き音階鳥帰る 勝彦
2021/02/25 (Thu)
海に向く石の十字架鳥帰る 万紀子
鳥風や連絡船の着く港 利保
伴淳の眼鏡の曇り春嵐 穂積
足袋をこぐ伴淳が好き鉢の梅 勝彦
2021/02/26 (Fri)
少年の盗塁成功げんげばな 万紀子
少年野球ポスターを貼る目借時 柳匠
憧れはサードで4番草萌える 利保
春の海眺む墓石に手を当てて 智恵
春光やベーブルースの広き背 穂積
少年野球女子も戦力春の星 宏平
墓石のぬくし浅間の煙白く 勝彦
背番号もらえなくとも春の星 勝彦
白金色に春の夜の波頭 美和
海望むサード・プレイス春の月 彩香
2021/02/27 (Sat)
麺麭生地を叩きて春のプレリュード 美和
陽炎や鉄塔下の友の墓 利保
山笑ふ原の英標一ページ 穂積
2021/02/28 (Sun)
梅月夜庭にひかりの届きたる 聡子
将棋とは理数の力日永かな 穂積
菜の花やビタミンカラーの琵琶湖畔 みどり
湖に吾名ありけり揚雲雀 美和
(89句)