2021/06/01 (Tue)
甘党の父の遺影に水羊羹 万紀子
峡の空映して清し夏の川 美和
海軍を誇りし父よハンモック 利保
戦ひに浮かびし体夏の空 穂積
田の神の降りて朗々夏鶯 勝彦
2021/06/02 (Wed)
若楓みどりの光降るやうな 美和
君を乗せ走る坂道夕立雲 利保
万緑や夕日ごと飲む大ジョッキ 勝彦
海底の長き沈黙走馬灯 穂積
箱庭の黙へ縞馬ひとつ置く 勝彦
2021/06/03 (Thu)
夏めくや馬の臀部のぬめ光り 美和
予報士の杖さだまらず芒種なり 利保
少女との逢瀬楽しき夏の川 穂積
ブルーノート噴かせて夏の夜の深し 勝彦
夏の夜の読書や髪を耳にかけ 彩香
2021/06/04 (Fri)
子にうたふ夏の夜の雨の歌 聡子
雨だれの音色弾んでゐたりける 美和
バッコスの杯揺らす栗の花 利保
青春の時間よ止まれ夏の☆ 穂積
抽斗の分度器曇り額の花 聡子
走馬灯瑠璃の瞳の君の影 利保
梅雨晴間光る機影とジェット音 美和
梅の実の香りや瓶の中にゐて 彩香
2021/06/06 (Sun)
青梅の籠いつぱいの丸さかな 万紀子
青柿の弾んで落つる壁の道 美和
青鬼灯鉄路の響く映画館 利保
小太りのおばちゃん多し接種の夏 穂積
梅の実の今年豊作十六個 直路
青梅を振るも篩うもこゑ高し 勝彦
2021/06/07 (Mon)
木下闇高音尖るリードミス 美和
ほととぎす終着駅は風ばかり 利保
夏つばめ瀬戸内沿いの道行けば 智恵
瀬戸内の枇杷の便りへ乾杯す 勝彦
瀬戸内の夏のレモンを齧りたし 草もち
初陣や夏の檸檬を真っ二つ 勝彦
2021/06/08 (Tue)
夏川にざんぶ飛び込みボール追ふ 比呂
ごとごとと脱水止まる夏の朝 美和
鯛めしの泳ぐ海より来る手紙 利保
檸檬とは齧るもの「柔道一直線」 薫
黒帯の淡く恋してシャーベット 勝彦
大夕焼け鉄の下駄の鳴る坂の道 勝彦
2021/06/09 (Wed)
あざやかに溶け出しレモンシャーベット 聡子
夕焼けに背負はれてゆく負け試合 利保
青春の不可解を知れ夏檸檬 穂積
荒梅雨や合羽の背中丸めゆき 美和
木道の黄菅を数へ尾瀬をゆき 万紀子
2021/06/10 (Thu)
瀬の音と風と歩くや皐月晴 美和
梅雨の雲ムンクの不安空に満つ 利保
なにもかもはるかな尾瀬や雲の峰 比呂
尾瀬口も梅雨入友らと握り飯 勝彦
2021/06/11 (Fri)
茹飯蛸唐草紋様とは此れか 美和
夜明けの翳りアジサイ青蒼藍 利保
黄を増せり日光黄菅遊歩道 穂積
風鈴や四方八方窓開けて 智恵
栗花の県境開けて匂ふかな 勝彦
窓辺より手を振る人の手に氷菓 彩香
2021/06/12 (Sat)
ラベンダー窓に飾りて雨あがる 利保
カフェカーテン揺るる出窓や緑さす 美和
蛇泳ぐなみなみ波の立つかたち くく
くちなはのくくくくくくと滑りをり 万紀子
カレー粉の香に目覚めたる午睡かな 彩香
ぬかるむや梅雨の杉菜は根を残し 勝彦
梅雨空へ拳ヒーローインタビュー 草もち
我が庭の秩序やいずこ草茂る 薫
2021/06/13 (Sun)
水無月の雲の序破急ゑひもせす 勝彦
対戦の拳くり出す旱星 万紀子
黒南風や地下駐車場出入口 美和
ぽつぽつと写真を整理梅雨の月 美和
梅雨の月河馬のあくびの泡ひとつ 利保
夏草の背高を越ゆるあくびかな 勝彦
2021/06/14 (Mon)
川越えて新緑の真只中へ 美和
緑夜なり古いラジオの流行歌 利保
猫の影おほきく伸びす緑夜かな 万紀子
杉菜茶をカインふるまふ梅雨入かな 勝彦
2021/06/15 (Tue)
茶箪笥の奥より湯呑み新茶汲む 美和
梅雨に入るもつの煮込みの七味かな 利保
にじみゆくオーロラソース緑の夜 彩香
(77句)
2021年6月前半 投句一覧
Re: 2021年6月前半 投句一覧
今回は、久々に、くくさんの句が登場しましたね。
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