2022/05/01 (Sun)
敷物に弁当並べこどもの日 美和
遅桜後ろ姿は君に似て 利保
新宅の空に泳ぐや鯉幟 桜子
振り昏むメーデーの声なき一日 家猫
囀りや恋を歌ふは双子歌手 穂積
2022/05/02 (Mon)
歌声は悲しき空へ暮の春 美和
昭和の日弁当染める紅生姜 利保
今もかも狭山茶畑茶摘み歌 桜子
振り暮らす濡れた梢にかたつむり 家猫
新緑のペダルも軽きユーロヴェロ 穂積
新緑や旅の疲れを離れずに 勝彦
さびしさに食ぶビターチョコ花は葉に 聡子
2022/05/03 (Tue)
花は葉に雨足残る旅鞄 勝彦
たんぽぽの絮旅のこと聞きにゆかむ 美和
黒々と苗田に聳え遠筑波 利保
蜘蛛の糸水面の如し光をり 桜子
一日の終はりででむしの生思ふ 家猫
糠床をぱんと叩くや荷風の忌 薫
床の間に掛けし鳥の絵夏に入る 美和
2022/05/04 (Wed)
終電の灯や風薫る無人駅 美和
荷風忌や旧街道のうすあかり 利保
風薫る弾むカルピスの朝かな 桜子
十七音つむぐや憲法記念の日 智恵
古茶惜しむ独り服茶の黙の夜 家猫
迷宮めく色街抜ける荷風の忌 穂積
惜春を掬ひて雨の小船かな 勝彦
夏近し砂丘の先は青と紺 智恵
使命重き忍者を見たり深き春 穂積
人の菅越前大野の深き春 勝彦
2022/05/05 (Thu)
人人人人又人のみどりの日 美和
アイドルの遠い歌声夏来る 利保
白く見ゆ遠き連峰も立夏なり 桜子
風薫る葉音の滋き夕間暮れ 家猫
夏夕べ弦にふれれば鳴り出しぬ 聡子
2022/05/06 (Fri)
東京駅から連れて来し夏の月 彩香
夏の月虚ろに暗しモアイの眼 利保
夏立つや風にサックス・ペット・チェロ 美和
庭隅の暗闇にをり浦島草 桜子
結葉を見上ぐる吾のくるくると 薫
ひらがなのスコアーボード子供の日 万紀子
泣きたかろ大切り株よ余花の雨 家猫
船頭のゴリゴ爺めく余花の掘 勝彦
生きてるぞ切り株姿の余花として 桜子
2022/05/07 (Sat)
初夏の姿造りや染付に 美和
夏場所や三矢の訓え胸に秘め 利保
風の香や季語のやうなる四股名あり 桜子
色と音まじふる初夏の渋谷かな 智恵
蚊遣火の煙はいつもの風を呼ぶ 家猫
還暦やまだ胸躍るこどもの日 勝彦
家もまた空気吸ひたし立夏かな 穂積
窓開き富士青々と夏来たる 勝彦
2022/05/08 (Sun)
聖母月マトリョーシカの紅い頬 利保
野に山に緑いろいろ早苗月 美和
美魔女てき色と姿やカーネーション 桜子
突然と佳き日にこぼれ桐の花 家猫
母の日やひねもす畑に石ひろふ 勝彦
ぽピぽピと文鳥歌ふ聖五月 草もち
2022/05/09 (Mon)
羽ばたきは風になりけり薄暑光 利保
夏めくや風鳴りの梢を見上げ 美和
池見れば鷺舞い降りて愛鳥日 桜子
雲間より麦の秋風黒の猫 家猫
鳩の街タイル鮮やか聖五月 穂積
さみだるる古書店跡の猫の声 勝彦
2022/05/10 (Tue)
古本を開き四つ葉のクローバー 美和
古書店の江戸川乱梅雨の蝶 利保
ステルス機轟音過ぐる青嵐 桜子
若葉風葉音ひかりて指栞 家猫
若葉風坂道上の古本屋 穂積
2022/05/11 (Wed)
古着屋の色のとりどり風薫る 美和
風薫る水田見下ろす鳥の影 利保
しんとゐる燕子花なり畔水路 桜子
指栞すぐそこに時鳥きて 家猫
娑婆なんてすぐそこにあり柿若葉 勝彦
古書店にカーネーションの飾らるる 聡子
2022/05/12 (Thu)
母に母その母に母カーネーション 美和
新調着まだ馴染まぬや茅花流し 桜子
ながし吹く緑のバスの停留所 利保
こぼれをる雫虔(つつま)し杜若 家猫
「じゃ、失敬!」昭和男の初夏の笑み 穂積
カーネーション捧げる黒のレースの手 勝彦
はつ夏にマチスの切り絵青々と 薫
句をもちて問ひたき会よ青山河 勝彦
2022/05/13 (Fri)
焔もて川面を照らす鵜飼かな 万紀子
風に乗り川音届く夏初め 美和
夜叉ひとり同行二人冷し酒 利保
実桜の黒く揺れるや青時雨 桜子
棄てられた枝壜に挿し夏初め 家猫
2022/05/14 (Sat)
初夏や聞香の炉の薄緑 美和
野茨よ棘の数ほど咲き芳る 桜子
青嵐本土復帰後五十年 利保
きのふけふ筍飯や二人の居 家猫
中尾くんちの筍の太きこと 草もち
2022/05/15 (Sun)
四畳半筍飯のお櫃かな 利保
しゅつしゅつとナイフになれぬ燕の子 桜子
はばたきや茅花流しの行方かな 家猫
(95句)