(2018.10.1 月)
日記書く影の膨らむ秋灯 ミントココア
膨らし粉少し酸つばし秋の昼 美和
風去りて万物新た秋澄める 利保
赤トンボよくよく見たら朱トンボ 利保
よく見たらあちこちにあり台風禍 利行
あかつきの風あざやかに野分去る 昭
台風は怒り猛りて駈け去りぬ 比呂
台風の爪痕大樹倒れけり 比呂
ビル群のすくすくとして野分あと 智恵
鰯雲ガラスのビルを埋め尽くす 草もち
きょうからは十月の空野分過ぐ 昭
木犀や花の十字架地へこぼす 聡子
(2018.10.2 火)
秋夕焼地平線見に行きたしと 美和
初恋の街近くて遠し金木犀 利保
居合にて切られたやうな下弦かな 薫
女郎花造影剤の染みわたり 穂積
(2018.10.3 水)
型染めの型紙を切る夜長かな 美和
朝寒やスタッカートの鳥の声 利保
丁寧に生きて小鳥の来る日なり 利行
倒木の根元の洞や小鳥来る ミントココア
絶海の蝋燭岩や星月夜 穂積
(2018.10.4 木)
半月や止まったままの観覧車 昭
秋夕焼け停止線越え停まりけり 美和
淡々と友の忌過ぎぬ吾亦紅 利保
金木犀の花の無残や台風去る 比呂
台風の怖さを知つてしまつては 利行
(2018.10.5 金)
青鷺の直立不動台風来 美和
宝くじ夢を肴に温め酒 利保
木犀の香につつまれて通学路 昭
種採るや誰かに当たる宝くじ 利行
緩む頬たらりと光る温め酒 薫
(2018.10.6 土)
月欠けて来たりし酸素吸入器 聡子
鷺一羽濡れるがままに秋の雨 利保
宙（そら）の涯（はて）はやぶさ降りるりうぐう星 比呂
種採りて花々のいろ想う朝 昭
父母と妹といて今年米 智恵
文机の正子の眼鏡秋ともし 穂積
(2018.10.7 日)
擦れ違ふ言葉悲しき秋の空 美和
澄める秋風に乘りたる祭りの音 利保
秋色のスカーフえらぶ君も古希 昭
秋暑し食べ放題のコリアンダー 智恵
秋暑ししかめっ面で見上ぐ空 薫
ピオーネをひと粒もぎし悪女かな 彩香
韋駄天のお正の描きし秋の雲 穂積
(2018.10.8 月)
秋風を追い抜いていく少女たち 昭
山の端の影絵となりぬ秋燕 利保
魂の色かはたれの秋雲は 美和
秋の雲赤白帽の入り混じる 昭
金木犀風呼ぶまでもなかりけり ハジメ
秋の空底はつれなき暑さかな 直路
十月の不思議な暑さ体育の日 比呂
廃村の井戸の底まで照らす月 亡羊
コミカルな太りし踊り子（ダンサ）豊の秋 穂積
(2018.10.9 火)
ひたすらに空高く飛ぶ秋の朝 利保
天翔ける鷹の渡るよ眼鏡拭く 比呂
体育祭柔道着きてリレーせり ハジメ
ひさびさの親子喧嘩や衣被 智恵
栗飯を親子のうちにわけあつて 利行
銀漢の尾に母ゐますこれからも 穂積
(2018.10.10 水)
朝霧の鷺より淡き白さかな 利保
人生は余白の外に猫じゃらし 比呂
そこに浮く雲の白さよさはやかに 利行
いつまでも赤赤と燃え秋夕焼 ハジメ
窓を開けば秋冷の入り来る 美和
野幌の森分け入れば花野かな 智恵
秋行くも陽だまりはただ暖かく 薫
秋草や母亡き日々の一日目 聡子
(2018.10.11 木)
秋風や遠き空より母のこえ 昭
いつかゆく夕日の奥や草紅葉 亡羊
天からの雨一滴秋の蝶 利保
手のひらは開いておかう小鳥来る ミントココア
行く秋や母の笑顔は大空に 比呂
秋の日を蜂蜜垂るるやうに来よ 亡羊
(2018.10.12 金)
母の手の形になりし秋の水 彩香
橋掛かり人影絶えて秋の月 昭
秋の夕空に映せる影法師 美和
秋寒やレールの響き遠ざかり 利保
そぞろ寒グランドゴルフの土均し ハジメ
秋澄むや句集に母の躍動し 直路
しつとりと銀漢の母微笑めり 穂積
(2018.10.13 土)
廃校に風しみていく秋の暮れ 利保
雲翳にやさしさ満つる秋夜かな 智恵
合掌の肩にやさしき秋の雨 草もち
(2018.10.14 日)
掌にまろばせてみる椚の実 美和
秋風や掌で鳴る銀の笛 利保
長き夜やギターの弦を爪弾きて 穂積
(2018.10.15 月)
合唱の声のぼりゆく秋の空 昭
合掌の指の先より秋の声 美和
静かなり何処の街の秋花火 利保
流れゆく木の葉とともに秋は行き 比呂
鳳仙花はじけて空の星と散り 比呂
フィボナッチ数列の色秋の色 穂積
(92句)