2026/08/16 (Sun)
窓からのあれは秋明菊の紅 桜子
鳴き暮らし牝に負はれる河鹿かな 利保
蜩や日々の暮らしを愛おしみ 美和
しののめにさざなみゐたる蜩が なお
腹心の友の誓ひよ水蜜桃 智恵
秋を行く特急列車シャルク号 彩香
夕涼や耳にウズベク語のやさし 彩香
しののめのモスクのいよよプラム色 彩香
シャー芯をかちかち出して秋の暮 美和
大木を見上ぐ寒蟬鳴くあたり 薫
ウズベキスタン秋空見上げつぶやきぬ 勝彦
サマルカンド・ブルーのタイル星涼し 聡子
サマルカンドの隊商宿や星流る 草もち
青タイルモスクの空や銀河濃し 穂積
2026/08/17 (Mon)
アザーンの紺青の空秋気澄む 桜子
飛ぶ鳥の影を映して水澄めり 美和
律の風アザーン響くミナレット 利保
八月の外つ国をらば眉月をや なお
バザールに胡桃売る人祈る人 彩香
国境も秋やタクシー待ちの列 彩香
爽やかやホテルを出づる一歩目も 彩香
爽やかやメール一切未読なり 勝彦
2026/08/18 (Tue)
外つ国に旅する人よ天高し 万紀子
さやけしや切絵の細き輪郭線 美和
吊り下がる子らの絵手紙星祭 桜子
絵手紙をはみだす桃の産毛かな 利保
そぞろきて秋づく街に書肆久し なお
格子戸にパン焼く秋の坂の町 勝彦
2026/08/19 (Wed)
白米に野沢菜添へて秋の声 薫
パンを焼く秋の香りとコーヒーと 万紀子
秋めくやパン耳を揚げ砂糖振り 美和
百日紅振るやうに香と零れけり 桜子
秋の海沖にぼんやりコンテナ船 利保
定刻着陸すいわし雲ぬけて 彩香
風爽か無事の知らせの着信音 桜子
鰯雲ぶじでなにより帰国せり なお
小走りの帰路左手に初秋刀魚 智恵
芝苅るや左回りが好きになる 勝彦
ベランダに干すトランクや風爽か 彩香
2026/08/20 (Thu)
トランクの底に残りし秋の砂 美和
残る暑さひとつ見送る青信号 桜子
天高し指突き上げる本塁打 利保
初さんま身にふりかくる塩の丈 なお
秋高しされど秘密の十角館 穂積
洗車して秋の気配を知るひと日 勝彦
エンパイアステートビルと半月と 草もち
おにぎりの角はまんまる天高し 彩香
2026/08/21 (Fri)
摩天楼天空の客月を待つ 万紀子
摩天楼二十五階に虫の声 利保
半月やレストラン行き昇降機 桜子
あくがれの心に満ちて秋の露 なお
庭石に秋の村雨ひのひかり なお
あくがるる地に夢追ひて花野かな 万紀子
ストリートに響くジャズの音上り月 薫
同緯度を旅する秋の夢にあふ 勝彦
秋の旅地球の軸をかたむけて 彩香
2026/08/22 (Sat)
地図眺め脳内旅行秋の昼 美和
燃え滓の燐寸の軸のうねり秋 美和
かなかなや雨降りさうな昼日中 桜子
助六の伊達な鉢巻夕月夜 利保
ものうげにつくつくほふしこゑきかば なお
瑠璃色のネイルの指に呼ばれ秋 彩香
2026/08/23 (Sun)
うみへびの白くちひさき頭蓋骨 万紀子
うみへびの浜辺の木にも登りたき 万紀子
秋夜を裂く防災無線と地震と 桜子
夜のなゐやただ虫の声つづきをり 勝彦
虫の闇災ひ告げる高き搭 利保
金管の光の余韻虫の秋 智恵
うれしなあ常あるやうに秋の蝉 なお
暮早し日付ポケット常備薬 美和
暮早し鳴らぬ楽器を飾りをり 勝彦
秋澄むや稜線の陽の白きこと 薫
秋暑しテンパリングのクミンの香 彩香
2026/08/24 (Mon)
警報を追ひかけて鳴く虫の声 万紀子
脳天に刺さる警笛秋暑し 美和
秋茜ふわふわと来て急旋回 桜子
そうですねえ枕詞に秋の空 利保
まつすぐな道アリゾナの秋の雲 草もち
まだ雲を知らぬ空あり秋のあり なお
句の便り遠き山河の知らぬ秋 勝彦
梨食めば思い出さるる山河かな 彩香
2026/08/25 (Tue)
満員の立食ひ蕎麦屋秋夕焼 美和
西瓜食み四方山話つづきをり 桜子
昭和とは西瓜に塩をふつた頃 利保
秋高し浅間のいただきふと出づる 薫
文一つ待ちをりつくづ涼新た なお
投入れの秋桜揺るる待合室 美和
コスモスは標とならず大浅間 勝彦
新涼や茶の葉急須にひらく音 彩香
2026/08/26 (Wed)
葉騒のみ耳に残れり秋の風 美和
葉の色よ気づけば秋のやどりたる 桜子
ふるさとの海は遠浅鷹高し 利保
葉のゆらぎをりをりつよく秋の宵 なお
たわみゆくピラティスリング秋の宵 彩香
紫蘇の実を零して宵の潦 勝彦
2026/08/27 (Thu)
野牡丹の深き紫紺や色澄めり 桜子
星の秋憶へばずきとありし恋 なお
高きより低きに流れ秋出水 利保
原色の水玉散つて赤とんぼ 薫
霧襖開いてはやはき嶽の色 勝彦
瓶に入る屈折角や秋海棠 彩香
2026/08/28 (Fri)
ほほゑみの国を襲へり秋出水 万紀子
爽籟や襲色目の匂ひとや 美和
雨あがる余滴の樹枝へ秋小鳥 桜子
雨あがりふつてまたやむ虫の声 利保
匂ひとや秋の初風ほどく色 なお
中庭を色無き風や旧帝大 美和
豊年や弱酸性の土の色 勝彦
予約本抱へて歩く豊の秋 彩香
2026/08/29 (Sat)
天高く黒鹿毛の尻豊かかな 美和
暁の遅し目覚めの虫の声 桜子
秋茄子のガラスの椀に浸かりたる 彩香
色黒の黒人二人星月夜 利保
秋鯵も秋味もゐてそとは雨 なお
秋雨や石牟礼道子を読む少女 薫
雨脚のおだみて葛の花明り 勝彦
2026/08/30 (Sun)
やはらかな曲線描き葛の花 万紀子
いつまでも名残惜しむか秋の蝶 万紀子
やはらかき絹のスカーフ涼新た 美和
やはらかき新芽の赤み秋の薔薇 桜子
さすけねえさすけねえさと芋煮会 利保
大鍋の煙をくぐる芋煮会 勝彦
こらんしょに甘ゆ会津の秋の宿 桜子
涼新た使ひふるしの竹ナイフ なお
秋暑し乾式ナイフシャープナー 彩香
秋涼の番鳩庭の下見に 桜子
2026/08/31 (Mon)
庭下駄の鼻緒に止まる秋の蝶 美和
きりぎりすダムの底より町役場 利保
あまさうな雲いつぱいに秋の空 智恵
よく肥へて番鳩(ついばと)睦む秋や川 なお
打ち羽振くステンドグラスや秋の蝶 薫
上下して風上むかふ秋の蝶 桜子
秋蝶の粉の黒きにすくむ指 勝彦
銀色に時を止めたる蜻蛉かな 彩香