2026/10/01 (Thu)
浴槽の修理終了九月尽 桜子
理詰めでは説明できぬ龍淵に 美和
柿食ふて河童を探す印旛沼 利保
目覚むれば十月、天晴れまぶしめり なお
棄ておいた愁思をそつと抱きゐし なお
制服の揃ふ声あり愛の羽根 桜子
秋晴れやコスモス色の服にして 桜子
とりあへず箱に納むる秋思かな 桜子
秋晴や新車行く先青信号 彩香
信号に群れたる後の衣更え 勝彦
秋晴れを待ちて洗濯三回目 万紀子
2026/10/02 (Fri)
二回目も晴れさう箱根旧街道 美和
半鐘に小さき木槌秋の晴れ 利保
修理場に泥付きキズ車台風過 桜子
霽月や闇の底ゆく川の音 なお
秋の日やあくびのくちのだす空気 彩香
使はれぬシャーカステンに秋日差す 勝彦
立ちすくむほどに秋落暉の燃ゆる 薫
2026/10/03 (Sat)
燃え尽きてお香の灰の白き秋 美和
秋薔薇の白き花びら芯あかく 桜子
斉唱は猫背と伏し目運動会 利保
晩秋や吾のかたはらに天道虫 智恵
遊星の軋む叫びや秋落暉 なお
ようやつと日の差して釣瓶落しかな 桜子
秋夕焼け黄の背表紙の焼けてをり 彩香
背表紙の高さ違へて檸檬の香 勝彦
背表紙に金の箔押し小鳥来る 聡子
2026/10/04 (Sun)
襖絵の金箔の雲なびく秋 桜子
小鳥来るショパン奏でるオルゴール 利保
ゆらぎ来し尽炷のよかう鵙の声 なお
声高に笑ふ一団秋高し 美和
鐘の音の余韻ゆらぎて秋の暮 美和
秋高し凡太の会議録開く 勝彦
はや女子会の君たちへ流れ星 勝彦
ぬばたまの黒髪くくる夜長かな 彩香
秋空や法事のあとのハンバーグ 穂積
秋冷の古道に灯るカフェ一軒 薫
2026/10/05 (Mon)
少年のストライダーや秋を切る 万紀子
秋バラの乙女ごころの名にゆるぐ 桜子
秋風やふさぎの虫に飯二杯 利保
愁思かなふとしたときにふと思ふ なお
暮の秋もの思ふ時慈しむ 美和
飯粒を一つずつ取り豊の秋 美和
露草のむらさきの濃きあしたかな 彩香
露草を刈るを惜しんで雨長し 勝彦
2026/10/06 (Tue)
青空へ菊芋の花のびらかに 桜子
長雨により長き柄の貴船菊 桜子
露草のあち見こち見や峠道 美和
可惜夜の月かうかうと哀しかり 美和
可惜夜や蓬莱島に月を待つ 利保
夜雨明く庭に歩まむ秋の草 なお
秋明菊咲きそむ庭や猫の墓 なお
もみじ葉の揺らめく影の落つ障子 薫
味玉のしゆくしゆくと浸む夜長かな 彩香
長き夜や闇に障子の白き影 勝彦
2026/10/07 (Wed)
秋晴の低き飛行機影迅し 桜子
闇の夜を跨ぎ銀漢冴え冴えと 美和
鉄瓶の突沸の来たる小鳥来る 彩香
水神の小さき祠山の柿 利保
愛(は)しけやし土鍋の蓋に秋の蠅 なお
庭手入れ寝そべる猫も秋麗 桜子
秋手入れ友のひとつまはりほど 勝彦
2026/10/08 (Thu)
箸置の鳥かろやかや今年酒 彩香
かろやかなラ·パリジェンヌは秋の薔薇 桜子
青空を広ぐる朝やけふ寒露 桜子
秋深しプラスチックの黒い箸 利保
小流れてこながれて秋深みかも なお
不意をつく炎どうだん紅葉かな 薫
冷ややかな眼鏡の弦や経済紙 勝彦
2026/10/09 (Fri)
裏紙にメモを残して秋の昼 美和
大琴の弦を鳴らして秋烈風 美和
十月の鏡の奥に揺れる灯よ 美和
長風呂を声掛くる夫秋の夜 桜子
朝冷やサンドウィッチの耳ざらり 彩香
似て非なる完治寛解秋の声 利保
紅玉やてのひら弾くちひささよ なお
てのひらにしつとり享けて林檎煮る なお
林檎食む甘さ新たな令和かな 勝彦
山の夜に金木犀の香のとどく 聡子
2026/10/10 (Sat)
街路明るし木犀の香の満ちて 美和
やはらかき銀木犀の香りかな 美和
アップルパイの香紅玉の良き酸味 桜子
木犀の暗きにほのと香りけり 彩香
金木犀五十年後のニュータウン 利保
きじやうゆをじゆつと葉唐辛子かな なお
このごろは甘味も滲む唐辛子 勝彦
2026/10/11 (Sun)
一服に今限定の栗子餅 桜子
里山の空に号砲秋祭 利保
秋澄むや大和路歩く堀辰雄 薫
空の青この犇きが秋気らひ なお
鯖雲の犇めく空や後の月 美和
遠富士は紺の台形空高し 勝彦
新月やエナメル鞄磨く夜 彩香
2026/10/12 (Mon)
エナメルの黴を取ってる夜長かな 万紀子
色なき風や取説の小さき文字 美和
キリキリリザワワコトコト秋の声 利保
ふるさとの思ひ出まねく花野風 桜子
秋の蜂ゆゑに縞々見とれゐる なお
包装紙畳みてけふの月を観む 彩香
漆喰に豊かな尻の秋の蜂 勝彦
2026/10/13 (Tue)
色変えぬ松尻当ての鹿の革 美和
地下を出て路地の影選る秋暑し 桜子
秋の路地カフェ待ちの若人の列 桜子
秋色を与へて畦の風去りぬ 彩香
星月夜土偶の尻のまるまると 利保
秋気なほ黙の林に籠りけり なお
深秋や十七烈士墓碑並び 美和
秋深し日の斑置く雑木山 勝彦
秋高し茅ヶ崎烏帽子岩の黙 薫
2026/10/14 (Wed)
校内の柵に稲束掛け並ぶ 桜子
やや寒の朝のラジオに手の伸ぶる 彩香
秋の海背鰭のやうな烏帽子岩 利保
連敗や石ころまでもうそ寒し なお
石ころのひとつひとつに秋時雨 勝彦
2026/10/15 (Thu)
思ひ出に耀いてをり秋の海 聡子
思ひ出を俳句に乗せてひよんの笛 万紀子
つんつんととんがり月の左舷月 万紀子
ひよんの笛初めて見つけ吹きし日よ 美和
つん読に慣れてしまへり後の月 美和
積読の頁をひらく秋日和 桜子
ひよんの実よ選びて気付く母好み 桜子
半獣の神ぼうぼうとひよんの笛 利保
思ひ出にのがるることも秋の暮 なお
十月や英語の歌を合唱す 穂積
飼い犬に替え歌聞かす夜寒かな 勝彦
出典は児童文学秋うらら 彩香
ご機嫌なご主人とゐる秋うらら 草もち
二段組文学全集秋灯下 美和
積ん読のひとつ引き抜く秋灯下 薫