2019年5月前半の投句一覧

  • 穂積
  • 2019/05/16 (Thu) 13:11:55
(2019.5.1 水)
春の夢時代に別れ告げる朝  利保
火山土を耕す朝や令和立つ  勝彦
しとしとと五月の朝の令和かな ハジメ
天皇は老青年や夏近し  穂積
青嵐一枚岩の前に立ち   美和
聖五月あたらしき時始まりぬ   昭
元号を冷和と書きて春の雨  穂積
令和元年五月一日雲間に陽   草もち
ただいまと苗代寒の雨合羽  勝彦

(2019.5.2 木)
みどりの夜新たな時代始まれり  聡子
田を渡る風の跡追う夏隣り  利保
渡月橋をみどりの風の吹く日かな   美和
神宮のふるまい酒や即位の日   比呂
黒猫の青き目ひかる五月闇   比呂
夕闇のふらここの音遠かりし  勝彦
リハビリの一歩踏み出し風光る   昭

(2019.5.3 金)
リハビリの半歩に拍手亀鳴けり  勝彦
濃紺のきみのブレザー緑さす  勝彦
春の果て風よ背中をおしてくれ  利保
薫風に和太鼓の音届きたる   美和
タンデムの風を残して海は春  勝彦
しつとりのザッハトルテや緑立つ   薫  
黄金のこんぺいとうや春の夢   智恵
家持と馬並めたりや春の夢  勝彦
せきれいは緑の果てへ一直線   昭
장승(チャンスン)の赤き柱や夏近し  穂積

(2019.5.4 土)
ハングルの暗号めいて夏隣る  勝彦
ロシア語の声行く春の雨の中   美和
孫娘蛙捕らえて母に見せ  利保
つかの間に過ぐる憲法記念の日 ハジメ
春雷や娘の髪を染めなほし  勝彦
余花の雨過ぎ去りし日をたしかめる   昭
富士塚の頂上に立つ五月かな  穂積

(2019.5.5 日)
虎猫の嗄れ声や春暑し  利保
キジトラの尻尾ぱたぱた夏近し   美和
無垢といふ名の相応しき白つつじ   比呂
紙兜かぶる端午の日は無邪気  勝彦
こどもの日寿限無寿限無を諳んじて   草もち
ほろ酔いに前座の寿限無春尽きぬ  勝彦
行く春や駅のスタンプ擦れをり  穂積
口開けてクロールしよう子供の日   薫

(2019.5.6 月)
燕の子の口を開くやビルの風  勝彦
子の背丈我を追いぬき風薫る   昭
風を追ひ季節を追ひて石鹸玉   美和
スニーカー風を揺らして夏立ちぬ  利保
こどもの日テント彩彩子が走る   比呂
しゃっくりのやうな歌声こどもの日  比呂
洋食も和食も問はずこどもの日 ハジメ
ナポリタン上手く巻けぬ日こどもの日  勝彦
雪解川北へ流るる信濃かな  直路
信濃では蕎麦屋の軒に藤の花  直路
天守より稜線白き夏隣  直路
植えた田の未だ疎らなる信濃かな  直路
MISIAの伸びる高音夏来る  穂積

(2019.5.7 火)
朝風や青田を渡る雲光る  利保
取れたての野菜の光夏立ちぬ   美和
ちろちろと囁く風鈴六日午後   薫   
新緑に園児のこえの映りこむ   昭

(2019.5.8 水)
若葉寒マイペースとは出来ぬもの   美和
地図記号描き終えたる青田かな  利保
裸婦像の肌つややかに若葉風  ハジメ
くっきりとランドルト環柿若葉  勝彦
薫風や谷に響ける水夫(かこ)の歌   穂積
ひたひたと植田の迫る谷の駅  勝彦

(2019.5.9 木)
なんとなく冷やし中華の令和かな  利保
鹿島から香取へ向かう夏立つ日   智恵
手轆轤(てろくろ)のゆるき回転みどりさす   聡子
新緑や天元に打つちひさき手  勝彦
谷川の峡の小橋や緑さす   美和
橋多き町に生まれてバナナかな   草もち
天元に石を下ろして薄暑かな  穂積

2019.5.10 金)
万緑を風吹き抜けて立ちすくむ   昭
手のひらで迷子となりぬてんとむし 利保
献血に左手ささげ聖五月  ハジメ
試写室の眩しき余韻夏に入る  直路
田植え機の跡は見る間に青田かな  比呂
足跡の家紋のやうに夏の山   美和
みどりさす手帖の端の金の文字   聡子
行く方の闇の静けさみどりの夜   美和

(2019.5.11 土)
田植機で深田を泳ぐ薄暑かな  利保
「いこい」てふ紫煙の向かふに緑さす  穂積
母の日や母の日記の崩し文字   昭

(2019.5.12 日)
西日さす残る煙草の紅の跡  利保
金曜日カーネーションを束に買ふ  勝彦
外郭の切岸深し風死せり   穂積
薫風や切妻屋根の続く道   美和
かはせみの見つめる先の午後三時   草もち
薫風の通ったあとのみどり色 彩香
母鳥がすこし先ゆく通し鴨   昭

(2019.5.13 月)
先生の靴は紐靴青嵐   美和
ごめんなさい言っても一人夏の空  利保
並列の自転車叱られて立夏   くく
叱られて雲の灼けたる麦の秋  勝彦

(2019.5.14 火)
雲海の凸凹の下梅雨ならむ   美和
青鷺の低く飛ぶ朝雨匂う  利保
若葉雨光琳の花空に伸び  直路
若葉雨地層は積もる池の底  直路
若葉雨ブラックホールは成長し  直路
羊歯若葉ジュラ紀の濫を孕みけり  勝彦
「雨だれの前奏曲」へみどりさす   聡子
初夏の湖に詩人のバラッド映りこむ  勝彦
「オフィーリア」のドレス水吸ふみどりの夜  穂積

(2019.5.15 水)
雨上がり狛犬背負い山滴る  利保
風薫る右折左折の交差点 ハジメ
紫陽花や二人の母の健やかに   智恵
オフィーリアのささやき青葉しぐれかな   聡子
深爪の夏蜜柑剝く深夜バス  勝彦
剥製の硝子の目玉梅雨湿り   美和

(108句)

Re: 2019年5月前半の投句一覧

  • 穂積
  • 2019/05/16 (Thu) 13:13:18

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