2024年10月後半 投句一覧

  • 穂積
  • 2024/11/01 (Fri) 22:14:37
2024/10/16 (Wed)
十三夜動かぬ父の金時計   利保
乗り換へに長き秋思の地下通路   桜子
ベランダに風の音する夜長かな   美和
帰る秋アダンの実る海辺かな   利保
男気なをんなが好きと十三夜  なお
コルドバも白き街並み秋の昼   穂積

2024/10/17 (Thu)
秋冷の墨書余白の徒ならず   美和
ブルージュの旧街かこむ水澄めり   桜子
柿紅葉砂場に小さき山ひとつ   利保
手暗がり「スボ手牡丹」といふ花火  なお
紅葉やダムに沈みし部落あり   穂積

2024/10/18 (Fri)
夜半の秋エンドロールに名を残し   利保
ポケットにビスコ小袋秋うらら   彩香
ホットケーキ焼く卵殻にすがる虫   桜子
虫の闇はてなく思ゆメメント・モリ  なお
秋うららグリコのおまけ宝物   穂積

2024/10/19 (Sat)
袴付きどんぐり仕舞ふ宝箱   美和
噴煙の流れ秋日の物産館   美和
カステラを焼くよぐり・ぐら秋うらら   美和
秋うらら鉄腕アトムは科学の子   利保
秋の蝶舞ふといふより乱れあふ   桜子
どんぐりの帽子とれたと泣く子かな  なお

2024/10/20 (Sun)
合歓紅葉絵を描く人のベレー帽  利保
木の実さまざま輪飾りの並ぶ店   桜子
金風やいまこの風のことぞなもし  なお
さやけしや截金残る毘沙門天   美和
爽やかや仁王の脛に風の往く   勝彦

2024/10/21 (Mon)
螳螂の脛枯れ尾枯れ眼枯れ   利保
ふはふはと風と光の枯尾花   美和
朝寒や珈琲の香のほんわかと   桜子
秋の壁を家守ゆっくり登りける   比呂
丘ひとつ美しきかな花芒  なお

2024/10/22 (Tue)
猫の来て手枕される星月夜   桜子
虫食ひの青い朝顔古い橋   利保
地下道の灯りちかちか残る虫   美和
虫すべる木肌も指もそぞろ寒  なお
泣くことの少なくなりてそぞろ寒  勝彦

2024/10/23 (Wed)
人生は泣くこと多し暮の秋  穂積
雁渡し泣いてかきこむ飯の味   利保
鰯雲下車まちがへしローカル線  桜子
千年の昔も秋の長谷詣で   比呂
別れ蚊のしづかに落ちてゐたりけり  なお
秋の蚊に血を吸はれたるハノンの手  勝彦
晩秋や句会にほてる渋谷行  勝彦
養父母の愛情深し秋の暮  穂積

2024/10/24 (Thu)
老眼に乱視と遠視秋の暮   利保
来し方の視界あれこれ菊日和   桜子
既視感の土手の光の夕薄   美和
秋の日や来世往生てふ教へ   美和
しづけさの秋の夕暮れ指の音  なお

2024/10/25 (Fri)
秋の燭ピアノの蓋に映り込む  聡子
灯火親し壁にはセピア色の地図   美和
秋寂ぶや海図に遠い波の音  利保
短編の終ひじんわり灯火の秋   桜子
折り紙の恐竜王国秋灯下   智恵
白秋忌カフェ邪宗門の灯のゆらぎ  なお
入国に宗教を記す穴まどい  勝彦
棒磁石抜けば砂鉄に蛇笏の忌  勝彦

2024/10/26 (Sat)
鳥渡る空国境は海の中   美和
鳥渡る十五年目の通院へ   桜子
送船海亀帰る浜辺かな   利保
瞬けば鳥渡りけり海のとほく  なお
日の匂ふ畑から遠き秋の峰  勝彦

2024/10/27 (Sun)
木犀の匂ひの続く今年かな   美和
木犀や早くも灯油販売車   桜子
冬隣アダモの曲の灯油売り   利保
みはなだの空はやばやと秋陰り  なお
秋耕や防災無線に選挙知る  勝彦

2024/10/28 (Mon)
線引きの消石灰の秋湿り   美和
嘘の世を清められるか秋の雨   桜子
敗軍の将は多弁で露の秋    利保
思ひ見るまづ一息やけさの秋  なお
「カワイイ」は共通言語菊なます   智恵
ぼろ市のプリクラ令和の菊日和  勝彦

2024/10/29 (Tue)
プリントの端にメモ書き小六月   美和
おひたしはもつてのほかの紅い菊   利保
菊なます音シャキシャキとふくらむ香   桜子
菊かをる無情の雨となる夕べ  なお

2024/10/30 (Wed)
味変ちふ薬味を添へて秋夕餉   美和
行く秋や時は金だといふ男   利保
善人か悪人か秋夜の電話   桜子
朝日影雨後ちふすがし菊の秋  なお
校舎より金の吹奏秋の雲  勝彦

2024/10/31 (Thu)
朝日さす出窓の結露秋の末   桜子
熱々のお結びお握り秋うらら   美和
いつかまたきつといつかは帰る秋   利保
また袖に夜寒の蠅や世は情  なお
火の恋しチョコの銀紙折り紙に  聡子

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