2025/07/01 (Tue)
ひこうき雲ノンアルビールの青い缶 利保
水彩色鉛筆滲む夏の湖 美和
青皿へ菓子「水無月」を吾の夏越 桜子
七月の蛇口のみづのあふれ出す 彩香
カアブして又カアブして雲の峰 なお
づぶ濡れの一人となりぬ半夏生 智恵
おもふ人ゐる雨宿り半夏生 勝彦
夏風は清やけさ運ぶ猊鼻渓 穂積
炎昼やかつての鉄路バスは行く 穂積
2025/07/02 (Wed)
梅溶かし時を蕩かす梅焼酎 利保
遠雷や雨粒わづかほどの距離 桜子
炎昼にひとり路面電車を待つ 彩香
待ちかねつ雨の降りけり梅雨の雷 なお
鳴きそめし鳥雷雨去ってゐし夕べ なお
遠雷やなべて王道無しと夫 美和
夏空へジェットは飛ぶぞ石巻 穂積
夏痩せを知らぬ遊子のみちのく記 勝彦
2025/07/03 (Thu)
リモコンで動く鉄人夏の月 利保
涼風や新幹線のホームより 彩香
雷霆や新幹線のダイヤ止む 桜子
送り梅雨「ダイヤ止む」てふ言ひまはし なお
風鈴やミストの社彷徨える 穂積
2025/07/04 (Fri)
風鈴へ爪先立ちの少女たち 美和
ミスコンちふもの無くなりぬ立葵 美和
夕立やうねるボレロの最終章 利保
向日葵の長短茎と八重咲きも 桜子
寄り目してそつと引く素麺の紙 薫
恋ひ恋ふるポアロの杖よ風鈴よ なお
冷房へホワイトボード並びをり 彩香
悲しみの視線の先の白夜かな 穂積
2025/07/05 (Sat)
直線の果ては宇宙や雲の峰 美和
日に乾く蛸壺海の色のこし 利保
曇天のラベンダーの径ゆつくりと 桜子
炎昼や絵本抱えて海の中 彩香
日盛やマダガスカルの海賊墓 くく
羅を捌く志ん朝喉の寂 なお
2025/07/06 (Sun)
南風ブァスコダガマの銀の髭 利保
夏深き沖縄ガマの真暗がり 美和
かすかなる音にすませば雨後の蝦蟇 桜子
夕涼や竹ぽつくりの音高く 彩香
木も草もだらだら坂も夏さ中 なお
昼餉とる蟻の世界のまんなかで 智恵
毎日がサラダ記念日油照 穂積
空の色映してゐたる氷菓かな 聡子
2025/07/07 (Mon)
じやんけんでちよきだす君の氷菓かな 利保
天辺に金魚の形のゼリーかな 桜子
夕焼けやあの子どこの娘けんけんぱ なお
とき進む梅の実の海しゆわしゆわと 彩香
長崎でアンノン族と会ひし夏 穂積
夏風邪の口へしゅわりと胡瓜もみ 勝彦ゆ
2025/07/08 (Tue)
口元は父似の娘鳳仙花 美和
ホトトギスアツケリャオキロと鳴いており 利保
朝の日の備前の皿にきゆうり揉み 彩香
帰宅時の子の抱へたる夏朝顔 桜子
朝南風かそけき葉擦れしてをりぬ なお
万博は七十年よ夏霞 穂積
万博の大屋根リング日雷 草もち
ミャクミャクの蓮の花托のやうに見え 万紀子
2025/07/09 (Wed)
梅雨の月川の畔にももんじ屋 利保
万博の花の手入れや星涼し 桜子
游雲の羽音かろらか旱梅雨 なお
短夜のモスキート音くぐり抜く 彩香
明易やスマホに溜まる嘘の数 くく
ぼうたんや嘘重ねたくなるときも 薫
2025/07/10 (Thu)
きつちりとプリント重ね風涼し 美和
数へ唄二番ど忘れ夏深し 美和
梅雨日照のの字くの字のみみずかな 利保
明易のカートAmazonプライムデー 彩香
石積みを出でて直ぐ入る青蜥蜴 桜子
石橋をわたる道のり大西日 なお
2025/07/11 (Fri)
水打つて日の匂ひ立つ石畳 美和
梅雨冷を一呼吸する心地よさ 桜子
冷索麺ひとくち言えぬことありて 彩香
遠会釈せり心地よき百合の風 勝彦
揚げたてのコロッケ二つ冷し麦 利保
姥百合に差ぢらひ色の潜みをり なお
2025/07/12 (Sat)
角立てて芋虫進むばかりなり 利保
なにもないまち四つ角の立葵 彩香
老鶯やコンビニ跡は斎場に 桜子
なにゆえぞでで出て来ぬを案じゐる なお
しずくから雫へたどり蝸牛 万紀子
からころと同じ歩幅の浴衣かな 智恵
2025/07/13 (Sun)
いつもより大人し気なり浴衣の子 美和
繰り返し蝸牛の目触るる子よ 美和
夏空や行進曲をリフレイン 美和
花屋まで久びさの徒歩喜雨のなか 桜子
昨日より今日の句がよしかたつぶり 利保
古言(ふるごと)の編んでほどける夏の果 なお
担がれて海に入る神輿のかぶく 薫
実梅落つ振り向きざまに見る夜空 彩香
炎昼や笑みの喜多さん駿府城 穂積
2025/07/14 (Mon)
炎昼の空がどんどん深くなる 美和
法要帰り真ん丸の梅雨の月 桜子
しゆんしゆんと砂糖の海にゐる実梅 彩香
床下で時を蕩かす梅焼酎 利保
綺羅星の梅雨の夜空に思ひかな なお
2025/07/15 (Tue)
梅雨の灯や天道説のヘラクレス 勝彦
荒梅雨や眠れぬままに朝迎へ 桜子
台風過季語にならざるゲリラ雨 利保
サンダルや少しとほくを見晴るかす 彩香
ハスカップふつふつ蝦夷の土用かな 智恵
ジャム瓶のラベルも手書き夏見舞 桜子
黒南風のをりをり暗い雨まじへ なお
何処いこか決めかねてをり雨台風 勝彦